恢徳堂のヨーシャさんのブログ

技術書典で出会った技術書たちを語る

December 17, 2019

前置き

この記事は【推し祭り】技術書典で出会った良書 Advent Calendar 2019の17日目の記事になります。

はじめに

今年はホント激動の一年でした。
PyCon JP 2019でポスター発表と飛び入りでのLTの発表をさせていただきました。
その時取り組んでいた内容はこのサイトのリニューアルで、しかもまだ完成していないという体たらくですが、その際に2シリーズの同人誌にお世話になったので書こうと思っていました。
お世話になったのはくるみ割り書房さんの『りあクト! TypeScriptで始めるつらくないReact開発 第2版』に始まる『りあクト!』シリーズと、akiyokoさんの『現場で使えるDjangoの教科書』シリーズです。
しかし、そのうち『現場で使えるDjangoの教科書』シリーズの方はいつの間にやら商業誌になっていたので、まだ商業誌になっていない『りあクト!』シリーズの方を紹介します。

シリーズ3冊をざっと読み解いていく

さて、肝心の本の内容に移ります。

jQuery時代のJavaScriptの知識があれば読み解けるはず

まずは1冊目の『りあクト! TypeScriptで始めるつらくないReact開発 第2版』から。
なんと、この本にはバックストーリーがあったりします。

入社以来一年半、Railsでの開発に携わっていた秋谷佳苗。彼女は社内の公募に参加し社内、ほぼ未経験ながらフロントエンドチームに参加、Reactでの業務を始めることになる。しかしその初日、待っていたのはリーダーである柴崎雪菜雪菜からの「一週間で戦力になってもらう」という言葉だった。秋谷は果たして試練を乗り越え、一人前のReactエンジニアになることができるのか?

バックエンド開発の経験はあるが未経験のフロントエンドに飛び込むエンジニアというのは、私の属するチームに置かれた状況にかなり近かったりします。
私のチームではASP.NET MVC1を使って開発しており、フロントエンドとバックエンドの分離はなされていない状態です。おそらく、秋谷さんのRails経験に近いものがあると思います。

バージョンまで明記してある親切さ

で、この本の嬉しいところはちゃんと使用するライブラリとそのバージョンを明記して進められている点です。なお、以下のようなライブラリを使っているようです。

これだけ明記されていれば、迷うことも少なくなるわけです。
なにせ、JavaScript界の進歩は激しく、情報収拾も大変です。
しかし、この1冊にはReactを扱う上で重要となる人物のツイートなども書かれており、体系的なReact知識が身につくようにできているのです。

周辺ツールまで言及する優しさ

また、TypeScriptはもちろんのこと、Visual Studio Codeの拡張やESLintとPrettierの使い方まで書かれているのも強みです。
さらに、続編の『りあクト! TypeScriptで極める現場のReact開発』ではCSS ModuleのEmotion、コンポーネントカタログのStorybookやユニットテストツールのJest、E2EテストのCypressの使い方も紹介してくれます。
実のところ、職場ではこの辺のツールを使ったことがない2のですが、迷わず導入できそうです。
ほんと至れり尽くせりです!

Firebaseだって任せて!

さらに、シリーズ最新巻『りあクト! Firebaseで始めるサーバーレスReact開発』では、Firebaseを使ったシステムの構築にも挑戦していたりします。
ここでもデータ投入やスクレイピング、Firestoreでの全文検索に状態管理のノウハウや認証に至るまで、かんたんなWebシステムなら作れちゃう勢いです。

おわりに

結構実践的で、しかも頭に入ってきやすい対話形式。
更に、オープンソース技術故に背景まで語ってくれるありがたさ。
これが3冊合計で4,000円3というのはかなりのお買い得です。
シリーズ通算3千部とかなり売れていることも、この本の内容が使えることを表す試金石になっています。
みなさんもこの3冊で、楽しいReactライフを!

  1. ASP.NET Coreではない、.NET Frameworkを使う、Windowsでしか動かないもの。 

  2. つまるところモダンな環境ではないと……。 

  3. ダウンロード版の場合。