発達障がい者から見たウェブアクセシビリティ
はじめに
この記事はWebアクセシビリティ Advent Calendar 2018の5番目の記事になります。
自己紹介
私は、最近テレビで紹介された某特例子会社に勤める発達障がい者です。仕事は今SEをしています。
前は自社サイトなどのサイトを作っていました。
私は医師に自閉スペクトラム障がい(いわゆるアスペルガー障がい)と診断されています。
ただ、どうも注意欠陥多動性障がい(いわゆるADHD)も併発しているようで、むしろ自閉スペクトラムよりADHDのほうが強いのではないかと思うほどです。
また、学習障がい(いわゆるLD)については私個人では気にならないレベルですが、表形式のデータやExcel方眼紙を理解しづらいところを考えるとLDの要素がないわけではないと思っています。
なお、知能発達の遅れはありません。
特性としては、気が散りやすく、注意がそがれやすいというところがあります。
裏返すと、チャレンジ精神が強く、いろいろなものに挑戦することが多いです。
ただ、やりかけで投げ出してしまうことも多いです。
MBTI性格検査では、ENFPタイプに診断されます。
おおむね診断のとおりの性格をしていると思います。
発達障がいが注目されていますが……
一般に、発達障がいは自閉スペクトラム障がいとADHD、LDの3つの分類に分かれるとされています。
この分類は併発することもあるだけではなく、人によって能力のばらつきが大きかったりします。
LD、その中でも読字障がいを抱えている人は、視覚情報は入力できるのですがうまく処理ができないという状態になります。
なお、読字障がいの詳しいメカニズムについては次の文章にまとめられています。
文書を理解するためには、次のような脳のプロセスがあるが、ディスレクシアの人には、このプロセスのどこかがうまくいかないと考えられる。
1.文字を視覚的にとらえる
2.読み(音韻)に変える
3.その読み(音韻)から語を特定する
4.特定された語に、一般的知識、語彙、理論付け、概念形成などして、単語の意味を理解するまた、ディスレクシアの人にとって文章がどのようにとらえられるのかは、当事者以外わからないが、概念的には文字がだぶったり、漢字が分解されたり、あるいは、順番が入れ替わったり、鏡に映したようにとらえられたりする場合もあるという。しかし、これは文字に限ったことで、絵を見たり、テレビを視聴したりする点には支障がない。
また、ADHDの人は気が散りやすいので、Webページ上に動いているところがあると注意が動いているところに行ってしまうことがよくあります。
自閉スペクトラム障がいの人の場合、感覚過敏を持っていることが多いです。
聴覚過敏の人は物音が気になりますし、視覚過敏のある人は照明や色合いが気になってしまうことも多いようです。
もちろん、光の点滅なんて御法度です。
ただ、これらの障がい特性は個人差が大きいので、人によってはまったく気にしない人もいたりします。
LDの人が読みやすいようにするには
LDの人向けのIT支援としてはDAISYなどが昔からあったりしますが、Webページについてもちゃんと配慮を施せば読みやすくできます。
ポイントを挙げると、次のとおりになります。
- 文字は大きく12ポイント以上で、フォントはゴシック体で
- 難しい漢字にはルビを振る
- 文章は短く
- 情報はリストなどを使ってシンプルにまとめる
- 場合によっては静止画像も活用する
- 拡大縮小に対応できるデザインを採用する
なお、それでも難しい場合、読み上げという最終手段があります。
さらに、今年(2018年)6月にW3CのWCAG2.1が勧告され、学習障がいに対しても対応が強化されました。
その中では、次のようなポイントを対応すると良いかもしれません。
- オートコンプリート
- UIのことばをシンボルに変換して利用しやすくする
- データ消失までの残り時間の明記
- パララックスなどのアニメーションの無効化
- ステータスメッセージのスクリーンリーダー対応
ADHDの人が読みやすいようにするには
ADHDの人が情報を読みやすいようにするには、情報を整理して不必要な情報を載せないことが大事だと思います。
とりわけ、動いてしまう表示に関しては注意を引かれてしまうので表示しないほうがよいと思います。
しかしながら、私はこのあたりを気にしないで使ってしまいます。
ほかにも必要なことがあるかもしれませんが、なるべく、コンテンツに集中できる構成を採用するほうがよいと思います。
自閉スペクトラム障がいの人が読みやすいようにするには
自閉スペクトラム障がいを抱える人は感覚過敏を抱える人が多いため、とりわけ色彩については考える必要があります。
チカチカした色使いについては気を付けるほうがよいでしょう。
尤も……
アクセシビリティに配慮しなきゃといっている割には悪い例を作ってしまうのが私の良くない点なのかもしれません。
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